対談ページへ 自立生活=たくさんのものに頼りながら、自分らしい過ごし方をすること。

第1回

自立生活=たくさんのものに頼りながら、自分らしい過ごし方をすること


 

自立生活とは、どんなに重度な障害があっても、自分の住みたい場所で、自分の住みたい人と、「自分らしい過ごし方」をすること。そのためには、子供のうちから「日常の中で選択をする」ということをたくさん経験することが大事です。私たちは、お子さんが「日常の中で選択をする」経験を持てるように支援をしたいんです。

こう話すのは「CIL(自立生活センター)ほにゃら」の代表であり、自立生活をする当事者の川島さん。

「自立生活とは何か」ということ、どうして「子供のうちから経験すること」が大事なのかということを教えていただきました。

 

 

プロフィール 

川島映利奈(かわしま えりな)さんの顔写真

川島映利奈(かわしま えりな)さん

ほにゃらの代表で年齢不詳なお姉さん。

SMAという先天性・進行性の病気とともに、24時間のヘルパーを利用して自立生活を楽しんでいます。車いすで生活をし、医療的ケアを受けていますが、気管切開をしているのにお話しできちゃう超レアな存在。さらに頭は切れるし、パソコンやスマホの操作はお手の物と、なかなか見た目とのギャップがすごい。

 ほにゃらでの活動や彼氏さんとの二人暮らしのラブラブ生活で、充実した日常を過ごしています♡

金城琉菜(きんじょう るな)さんの写真

金城琉菜(きんじょう るな)さん

最近ほにゃらに入った川島さん専属(笑)の新人ヘルパー。ちょっとずつ医療的ケアをするのも慣れてきたよ!地域の大学に通って、福祉について勉強中! 

明るくフレッシュなパワーでヘルパーとして頑張っています。少しおっちょこちょいな部分もあるけれど、川島さんに支えられながら、なんとか日々を過ごしています!

 

 

「自立生活とは何か」

 

ものに頼るということ

 

 

川島 「私たちが考える自立って、自分でできるようになることじゃないんですよ。

・自分で読み書きができる

・着替えができる

・お金の計算ができる

・一人で歩ける

こういうことが『一人でできるようになる』ことを目指すのではなくて、その人ができることに注目しながら、『何ができるか一緒に考える』ことを目指します。」

 

金城 「そうなんですね!自立って聞くと、親から離れて生活のすべてを自分一人でやらきゃいけないってイメージでした。それこそ、自分で着替えたりお金を計算したり。」

 

川島 「多くの人はそういった経済・身辺的な自立を思い浮かべますよね。でも、それよりも大事なことって、自分で『日常の中で選択をする』ことだと思うんです。何をしたいか、何をしないか、というような選択です。自立生活は、そういった選択するという経験を重ねて『自分らしい過ごし方』をすることが目標だと思うんです。難しい言葉だと、人格的自立っていうのかな。」

 

金城 「『自分らしい過ごし方』が自立ですか。たしかに、私も一人暮らしを初めて、自分らしい過ごし方ができるようになったと思います。でも、最初はどう生活すればいいかわからなくて、とても困りました。数年一人暮らしをすることで、ようやく『自分らしい過ごし方』ができるようになったと思います。」

 

川島 「よく言ってくれました。『自分らしい過ごし方』を見つけるってすごく難しいんです。金城さんは数年かかったと言っていましたが、どうしてすぐには見つけられなかったんでしょうか?」

 

金城 「うーん、いろいろ試行錯誤したからですかね?朝ごはんは何を作ろうとか、作るのは大変だから夜のうちに冷凍しておこうとか。些細なことから大きいことまで、決めては失敗して、また決めて・・。そういうことが多かったというのを覚えています。」

 

川島 「たくさんの成功や失敗から『日常の中で選択をする』ということをしたんですね。そういう経験の積み重ねで、少しずつ自分のやり方を見つけていったということでしょうか。」

 

金城 「そういうことです!すごくうまくまとめてくださいました。」

 

川島 「今の話から『自分らしい過ごし方』をするためには『日常の中で選択をする』ことが大切だと分かりました。でも、それはすごく大変で難しいということもわかりました。」

 

金城 「やっぱり、『自分らしい過ごし方』を目指す自立生活は難しいんでしょうか。」

 

川島 「一人で目指すと大変かもしれません。だから私たちは、全部を本人に任せっきりにするんじゃなくて、人とか福祉機器とか、制度・サービスを使いながら、『決める』ことのお手伝いをしたいと考えているんです。」

 

 

 

川島さんと、川島さんの話を聞く金城さん

金城 「そうなんだ。自立なのに、いろんなものに頼ってもいいんですね!」

 

川島 「もちろんです!ではここで、こんな言葉を紹介したいと思います。

『自立とは依存先を増やすことである』」

 

金城 「対立的な言葉が並んでいますね(笑)」

 

川島 「そうかもしれないですね。でも、今までの話を聞くと少し納得できそうではないですか?」

 

金城 「自立でも、人とかものに頼ってもいいんですもんね。」

 

川島 「そうです。もう少し具体的に考えてみましょう。実は私たちはいろんなものに頼って生活しているんです。例えば、歩いていける距離だけど、車や自転車を使いますよね。」

 

金城 「使います!歩いて5分の所にあるコンビニでも自転車を使っちゃいます。」

 

川島 「そうそう、便利だもんね。ほかにも、料理はできるけど、疲れた日はお総菜コーナーで買っていく、お店で食べることもあると思います。」

 

金城 「階段じゃなくてエレベーターやエスカレーターも使いますし、わからないことがあればすぐにスマホで調べたりします。

あれ、すごくいろいろなものに頼ってますね。」

 

川島 「今の時代は便利なものが増えましたから。みんな気づかないだけで、たくさんのものを活用してると思うんです。全部自分の力だけでやろうとすると大変だし、すごく疲れちゃうと思うんですよ。

ね?何かに頼ること、は悪いことじゃないし、当たり前でしょ?」

 

金城 「すごく納得しました。いろんなものに頼れる環境って実は幸せなんですね。」

 

 

 

  第2回へつづく